事後確率について

EP8のクイズ大会の最後、譲治と朱志香の出した問題について、もう少し分かりやすく説明しましょう。

 

青、黄、赤、の3つの箱の中に1つだけ当たりがあります。縁寿が最初に1つ選び、朱志香が残った2つの内からハズレを1つ間引き、残ったもう1つの箱と縁寿が最初に選んだ箱では当たりの確率は同じでしょうか、という問題です。

 

これは、こう言い換えることができます。

青、黄、赤、の3つの箱の中に1つだけ当たりがあります。これを、縁寿、朱志香、譲治の順番で選びます。朱志香は、当たりを知っていてなお必ずハズレを選びます。この時、縁寿の選んだ箱と譲治の選んだ箱の、どちらが当たりの確率が高いでしょうか、ということです。

 

縁寿が当たる確率は1/3ですね。

朱志香が当たる確率は0ですよね。

ならば、譲治が当たる確率は2/3となります。

 

 

掘り下げましょうか。青が当たりだとします。

 

縁寿が当たる確率は1/3。

縁寿が赤を選んだとします。

朱志香はハズレしか引かないのですから、残った青、黄、の中から必ず、黄を選びます。

自動的に譲治は青を選びます。当たりです。

 

縁寿が青を選んだとします。

朱志香はハズレしか引かないのですから、残った黄、赤、の中から、どちらかを選びます。

譲治は、朱志香が黄を選んでも赤を選んでも、残った箱に当たりはありません。ハズレです。

 

縁寿が黄を選んだとします。

朱志香はハズレしか引かないのですから、残った青、赤、の中から必ず、赤を選びます。

自動的に譲治は青を選びます。当たりです。

 

譲治は、縁寿がハズレを引いた瞬間に当たりが確定します。なので譲治の当たる確率は2/3なのです。これはつまり、縁寿は「やっぱり譲治お兄ちゃんの箱にするー!」と駄々をこねた方が当たる確率が高くなるということです。

 

 

違う例題を挙げましょうか。

日本中を旅してきたB君が、ある日A君に言いました。「旅の途中で、ある人にすごい惚れ込んでしまったんだ。それは誰でしょう?」A君が当たる確率は、だいたい1/1億くらいでしょうか。当たるわけもありません。適当に、この人!とY氏を選びました。するとB君は「Y氏と、山形県に住むWさん以外の全員には惚れていないよ」と言いました。Y氏とWさんのどちらかが、B君が惚れ込んだ相手だと確定しました。そして「どっちか選びなおしていいよ」とB君は言いました。A君は選びなおした方がいいか、それともY氏のままにするか、どっちにすればいいでしょう?

 

考えるまでもありませんね。これが事後確率です。これを突き付けられてなお、縁寿はY氏を選べるでしょうか。 Y氏を選んでほしい、選びなおさないでほしい、と譲治を通して戦人は訴えたかったのです。

 

 

 

最初の、アーモンドが当たりのケーキを選ぶシーンについて、事後確率で紐解きましょう。

 

最初に選んだのは縁寿。他の全員は、戦人が操る駒なのですから、どれにアーモンドが入っているかを知っています。当たりを絵羽に選ばせる手筈です。全員が選び終わった後、次々にハズレの皆さんが、自分はハズレだと発表します。残ったのは縁寿と絵羽だけになりました。

 

ここまでは譲治の出した問題と同じ展開ですね。ハズレを間引く行為が行われたわけです。

何も知らない縁寿からすれば、自分が当たる確率も絵羽の当たる確率も、ともに1/15です。しかし、全員が当たりを知っていてハズレを間引いただけという事実がある場合、絵羽の当たる確率は、14/15です。

 

現実には、絵羽が当たりというのが真実である可能性のほうがはるかに高い。しかし、縁寿の手にしているか弱き真実を手放さないでほしい。 どんなに確率が低いからって、縁寿の手のケーキが当たりである可能性を否定できないんだ。その戦人の想いが、どちらも当たりという描写で表したのです。

このゲーム盤では、相反する真実が同時に存在できる、猫箱が開かれる前の世界だからです。絵羽が当たりなのは人間犯人説、縁寿が当たりなのは魔法説に置き換えることができます。

 

周りの人間は、六軒島事件を内部犯行の残酷なものだったと騒ぎ立てているでしょう。いろいろな証言や事実関係などからも、それが真実である確率が高いのも分かる。でも魔法を信じれば、縁寿の信じる、ほぼありえないであろうと思われる真実だって、真実足りえるのです。だれが何と言おうと、それを信じ切ってほしい。それが、ケーキ選択のシーンなのです。

 

 

ちなみに、事実は絵羽が当たりです。縁寿のケーキにはアーモンドなんて入っていなかった。それを戦人が、アーモンドが入っているぞと言い、グルの紗音が、縁寿さまのは間違いなくアーモンドですと嘘をついたのです。

当の縁寿は、アーモンドがなんであるかが分かっていません。6才ですし、パンプキンがカボチャであることも知らない年頃です。みんなが、”これ”がアーモンドだと言ったから、”これ”はアーモンドなんだと勘違いさせられたのです。縁寿のケーキの中から、アーモンドではない”これ”をつまみあげた戦人が、アーモンドが入っているぞと言いだして、縁寿がそれを信じたということです。

 

真実も提示しなければならないゲーム盤というのは、残酷なものですね。解くたびにげんなりさせられます。童心に帰りたいですね。

 

 

 

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