嘘喰い 業の櫓 解説2

  • 2ターンから3ターン開始前まで

 

 

@ かくして、ここまで思考をめぐらせ準備を完了した嘘喰いは、いよいよ捨隈とドティ2ターンを開始します。

 

 

嘘喰いは捨隈を探りますが、まったく読めない。とその時、梟戦でみせたほんのわずかな違和感が捨隈にうかがえました。これを受けて嘘喰いは、今までの読みおよび八百長の存在を直感していたことを確信に変えました。とはいってもまだ迷いはありましたが、事前の手はずが終えているので今更迷ってもいられませんでした。自分の読みや直感と心中しようときめたのです。

 

ところでこの違和感とはなんだったのでしょう。

読めない相手、捨隈。この鉄のような男がみせた同じ反応……。

 

それは信頼していた相手に裏切られた時にみせる反応ではないか、と嘘喰いは直感したのです。

梟戦、捨隈は圧勝する予定だったのになぜかよくわからないところで梟に負けるゲームがありました。「おいおい、どういうつもりだよ」「このゲームは私が勝つ予定だったろう」「裏切る気か」などの気持ちが表にでてしまったのではないか。

 

今回は「5」という数字に対してこの反応をみせました。つまり仲間に(雹吾に)「5」が自分の数字だと教えておいて「それが嘘喰いに知られたのか」「雹吾は口を割ったのか」「裏切りか」などの気持ちが表に出てしまったのではないか、と嘘喰いは直感したのです。

 

ここで嘘喰いはあれはやはり八百長だったと思うに至り、さらに仲間に(雹吾に)流していた数字が「5」であると読みました。

 

嘘喰いはここで思います。もしこの「5」が本当の捨隈のナンバーだったとしたら(仲間にも自分の本当のナンバーを教えていたとしたら)、「12」と守りで答えた数字であっても、捨隈は嘘喰いのナンバーを3点まで絞ることになる(これは検証すれば分かることなので割愛します)。正解数は「14」です。これでは次の捨隈のターンで、嘘喰いは当てられて死ぬ可能性が非常に高い。

 

この辺の思考が、21巻の「12」コールの前の嘘喰いのセリフに表れています。

 

 

嘘喰いが「12」をコールしたことについて検証してみましょう。このコールは嘘喰いにとって守りの一手です。嘘喰いの目的は3ターンまでやることにあります。この2ターンで大事なのは、捨隈のナンバーを絞ることでも、捨隈のナンバーを当てにいくことでもありません。自分のナンバーを全く絞らせないことの方が大事なのです。

 

またこの局面は、捨隈が入力したミスナンバーをコールしないことも大事でした。

どういうことかというと、先ほど捨隈は「8」と上で入力してきたわけですが、この2ターン目で嘘喰いが「8」とコールしたら捨隈は「おや?」と思うことでしょう。こいつミスナンバーを知らないのかと。

ミスナンバーを知らない事実を捨隈に読まれると、嘘喰いにはかなり都合が悪いです。なぜならば嘘喰いの目的は3ターンをやることであり、捨隈がこれを受けるには嘘喰いがミスナンバーを知っている前提でないと、もしかしたら捨隈は負けてしまうかもしれないので、受けてくれない可能性もあるからです。

しかし嘘喰いはこのミスナンバーを「8」と読んではいるものの確証は全然ないので、確実に上で入力していないナンバーである「12」を選んだのです。捨隈が「1」「2」でないことは分かっているので、「12」と上で入力することはブラフになっていないためミスナンバーが「12」であることはないはずだ、と嘘喰いは読みました。

 

まとめると、守りの意識ミスナンバーを知らない事実を悟らせないという意識が「12」のコールを嘘喰いに選ばせたのです。

しかし前記した通り、本当に捨隈のナンバーが「5」だった時に、このコールは悪手となります。3点まで絞られた嘘喰いは捨隈のターンでおそらく当てられて死んでしまいます。

実際このあと捨隈のターンで「14」とコールされたわけで、嘘喰いはこの時、真に肝を冷やしていたに違いありません。「14」コールがはずれて心底ホットしたことでしょう。

 

ちなみに、「14」と嘘喰いがコールすることは論外です。確かに捨隈が「5」である可能性を潰せますが、同時に嘘喰いの珠が「9」であることも捨隈に悟られてしまう可能性が高く、これでは捨隈に先に間違ったナンバーを入力させにいくという目的に全くそぐわないからです。

 

 

@ こうして、「12」のコールははずれ捨隈のターンとなりました。そして「14」をコールするわけですが、なぜ「14」だったのでしょう。検証してみましょう。

 

 まず、「9」以下は物理的にコールできないのは分かるでしょう。捨隈のナンバーが「9」であるからです。とするとコールできる数字は「13」「14」「15」「16」「17」「18」「19」のいずれかです。そしてこの時「15」以上もコールできないということが分かるのです。下記で説明しましょう。

 

 もし「15」とコールしはずれたとしましょう。そして嘘喰いのナンバーがもし「5」だった時、大変なことになってしまうのです。

嘘喰いの視点に立ってみましょう。まず「15」をコールしたのだから、捨隈が「1」「2」「3」「4」でないことは分かる。そして「10」「11」「12」がはずれなので、捨隈が「5」「6」「7」でもない。さらに上での「8」入力のミスによって「8」「9」「10」でないことも分かる………。あれ…?

 

 お分かりいただけたでしょうか。捨隈のナンバーが全てあり得ないという事態になってしまい、それすなわち上での「8」の入力がブラフだったという事実を知られてしまうことになってしまうわけです。これは「16」以上のコールでも同じ結果になります。

 

 要するに捨隈はこのターンで「13」「14」のどちらかしか選べない状況だったのです。ではどちらの数字の方がいいでしょう。これは一つ一つ検証していきましょう。

 

 まず「13」をコールしてはずした場合、捨隈は嘘喰いの珠を「5」「6」「7」「8」「9」「10」まで絞ることができます。その時嘘喰いはどういう思考をするかということを、捨隈目線で検証してみましょう。

 

 

嘘喰いが「5」を持っていた場合 = 捨隈の珠は「4」で正解パスワードは「9」に確定

「6」 = 捨隈の珠は「3」で正解パスワードは「9」に確定

「7」 = 捨隈の珠は「7」で正解パスワードは「14」に確定

「8」 = 捨隈の珠は「6」「7」で正解パスワードは「14」      「15」のいずれか

「9」 = 捨隈の珠は「5」「6」「7」で正解パスワードは「14」「15」「16」のいずれか

「10」= 捨隈の珠は「4」「5」「6」「7」で正解パスワードは「14」「15」「16」「17」

 

 

と、嘘喰いはこのように考えるはずです。

 

次に「14」をコールしてはずした場合を考えてみましょう。捨隈は嘘喰いの珠を「4」「6」「7」「8」「9」「10」まで絞ることができます。その時の嘘喰いの思考は、

 

 

嘘喰いが「4」を持っていた場合 = 捨隈の珠は「5」で正解パスワードは「9」に確定

「6」 = 捨隈の珠は「7」で正解パスワードは「13」に確定

「7」 = 捨隈の珠は「6」で正解パスワードは「13」に確定

「8」 = 捨隈の珠は「5」「7」で正解パスワードは「13」「15」のいずれか

「9」 = 捨隈の珠は「4」「6」「7」で正解パスワードは「13」「15」「16」のいずれか

「10」= 捨隈の珠は「5」「6」「7」で正解パスワードは「15」「16」「17」のいずれか

 

 

と、このように考えるはずです。

 

どちらのコールであってもほぼかわらないように見えますが、嘘喰いが「10」を所持していた時だけ、「13」コールの場合は4点、「14」コールの場合は3点までの絞り込みとなります。捨隈としては嘘喰いにより絞ってもらった方が、その後の嘘喰いの行動が読みやすくなります。だから捨隈は「14」コールを選んだのです。

 

 ちなみに、「13」コールにもメリットはあります。嘘喰いは直前に「12」をコールしているわけですが、嘘喰いがもしかして自分のブラフを見破っていて、自分の「8」「9」を狙って「12」をコールした可能性があるとも考えられます。つまり、「3」「4」を持っていて「12」をコールした可能性です。

嘘喰いが「3」ではないと判明したため、「4」を持っていて、自分の「8」を狙って「12」をコールしたということもありえなくはない。となると、嘘喰いの珠は「4」で正解パスワードは「13」ということになります。

この考えを潰す意味で「13」をコールすれば、たとえはずれても嘘喰いが自分のブラフを見破っていないことになり、一安心というわけです。

 

しかしどうやら捨隈は、嘘喰いがブラフを見破った可能性を完全に無視したようです。それゆえに「14」コールを選択、結果はずれました。

 

 

@ ここからの展開は、前記した嘘喰いの予想や策略通りに進むわけですが、もう少し細かく探っていきましょう。

 

 まず捨隈は2ターンが終わった時点で、嘘喰いの反応を注視していました。嘘喰いが即入力に向かうようなら1点に絞っているのでしょうから、嘘喰いの珠は「4」「6」「7」でしょう。

そして上で「9」を入力するようなら嘘喰いの珠は「4」で確定だし、「13」を入力するようなら「6」「7」のどちらかで、あとは自分は50%の確率です。

 

少しどうすればいいか迷っていそうなら1点で絞り切っていないのでしょうから、嘘喰いの珠は「8」「9」「10」でしょう。迷った末3ターン突入という展開にもなるかもしれません。

 

さあ、どんな反応をみせるんだい?嘘喰いくん?みたいな気持ちだったのでしょう。

 

しかし、嘘喰いがあっさり3ターンをやろうと言い出したのは捨隈にとっては意外でした。間違いなく3点以下まで絞っているはずで、50%の確率で1点まで絞り切っているはずです。それが、何の躊躇もなく3ターンをやろうという。もちろんこのまま受けてやっても問題はないが、と。

 

ここで捨隈は、嘘喰いが自分のミスナンバーを知らないことに気づきます。つまり嘘喰いはまだ自分の珠を5点以下、最高でも2点までしか絞れていないのであろう。

 

 これを気づかれることは嘘喰いにとっては予想外で、後に計算通りと発言していますがそれは間違いなく嘘です。それは前記の通り、ミスナンバーを知らない状況で3ターンをやれば、捨隈は自分の「9」の数字を隠せていないので負ける可能性があるから3ターンを受けない可能性があるからです。

 

 しかし実際は、嘘喰いがミスナンバーを知らないと読みつつも3ターンを受ける覚悟をきめたという展開でした。この事実に嘘喰いは感謝しなければならないでしょう。3ターンをやるかやらないかの駆け引きの時、嘘喰いは捨隈が3ターンを受けるのを躊躇する演技をしていると読みました。しかし事実は、本当に捨隈は躊躇していたのです。

 

 この辺のやりとりは22巻のはじめの方のやりとりを描写したものです。

 

 

 

      解説1  解説3

 

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コメント: 2
  • #1

    (金曜日, 08 11月 2019 01:54)

    ステグマが13ではなく14コールをしたのは、ステグマにとって13は当たりえない数字だったからです。
    ステグマの数字は「9」ですから、ステグマが13コールするのはバクが「4」の可能性がある場合でないとうまみがありません。

    しかし屋上8入力のあとにバクは2ターン目で12コールをしており、これはバクの数字が4以下の可能性がないことを示します。

    よってステグマは当たる可能性のある14をコールしたのです。

  • #2

    gultonhreabjencehwev (金曜日, 08 11月 2019 23:34)

    コメントありがとうございます!

    そうですね、それについては一応、バクがブラフを見破った可能性を考慮すればうんぬんかんぬんのところで載せましたけど、まあブラフがバレてないと思ったってことなんでしょうねえ。